防災・減災に興味ある?
第8回
「獣医療の人材が行う災害支援の実際」
今回は、獣医療の人材が行う災害支援の実際ということで、動物支援ナースの活動をお伝えしたいと思います。
動物支援ナースは、千葉科学大学動物危機管理教育センターにおける文部科学省認可の120時間に及ぶ、獣医療災害支援人材養成プログラム修了生で構成されています。
現在3期生までの育成を終え、来年度は40名以上になる予定です。
隊員の構成は、動物看護師と看護師になり、平時は動物病院勤務や学校の教員だったり、訪問動物介護やトリミングサロンをしていたりと背景もバラバラです。
共通することは、仕事をしつつ、動物支援ナースとしての活動にも携わっているという点です。
そして隊員は、北は北海道から、南は熊本県と全国に散らばっていますので、オンラインツールを使って日頃からコミュニケーションを取り、月に1回会議を行います。また発災時は、災害モードとしてLINEが機能します。
これまでの動物支援ナースとしての被災地活動は、令和元年台風災害での埼玉県と、令和2年豪雨災害での熊本県人吉市です。
埼玉県の活動の時は、千葉県でも甚大な被害があり、停電が続いていました。埼玉県では、坂戸市や川越市、東松山市、さいたま市の一部にて浸水被害がありました。
各地区に避難所も開設されていました。
私たちは「彩の国会議」https://www.saitamaken-npo.net/sainokunikaigi/topics/about.htmlという埼玉県+社会福祉協議会(ボランティアセンターなどの窓口となります)+災害支援団体で構成される会に登録しています。
この台風の時にも、彩の国会議の登録団体として、現地に足を運び、飼い主の困りごと「ペットニーズ」をひろうことを試みました。
しかし彩の国会議では、ひろえませんでした。直接訪れたさいたま市の被災地区の方が、ニーズをひろえ支援できました。
この時に感じたのは、事前に私たちを知って頂かないと災害時には、役に立たないという教訓でした。
次に令和2年豪雨災害での熊本県人吉市での活動ですが、現地には熊本地震の時から活動を行っている隊員がおりましたので、彼女を中心に全国の隊員で後方支援する方法を取りました。
当時COVID-19が流行し、他県からの支援に入ることが叶わない状況だったのです。
まず行ったことは、現地でのニーズ調査と「支援をします」というチラシの配布です。
このチラシと受付フォームは、他県の隊員が作成しました。
当時支援したのは、愛護団体の支援が得られないブリーダーや、ドッグサロンでした。
必要な物資があれば、後方支援組に伝えてもらい、熊本の隊員宅に郵送、それを現地に運んでもらうことを行いました。
またキャパシティを越えて飼養管理しないよう動物救護所にて預かりが始まっていることをお知らせしたり、動物の健康管理やケアの方法を伝えたりと、動物看護師ならではの活動ができていたと感じています。
送った物資は、水や消毒薬、ケージ、粉塵被害が酷いため目の洗浄液などなどでした。
こうした活動が成し得たのは、熊本地震から続く横の繋がりと、それを継続している現地の隊員、また後方支援を行うための平時のつながりがあったからでした。
私たちが所属する彩の国会議の教訓が「つながることは備えること」なのですが、まさしく獣医療の人材として、今すぐにでも行えることかなと思います。
次回は、東日本大震災でのシェルターワークについてお伝えします。お楽しみに♪