公益社団法人名古屋市獣医師会

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防災・減災に興味ある?

第7回

「動物病院での災害訓練!」

前回は、「事業継続計画(BCP)」についてお話し、ある動物病院の事例をお伝えしました。

どうでしょう?災害に備えられている動物病院と言えますでしょうか?

そうした病院であることを打ち出すのも、集客になるかと考えます。

 

じつは最近日本では、地震が頻発しております。

30年以内にマグニチュード7クラスの地震が発生すると言われてきましたが、本気で備える時が来ているのかもしれません。

 

さて今回は、災害訓練編ということで、クションカード』など実施計画について詳しくお伝えしたいと思います。

 

『アクションカード』とは、

 

対応方法や行動をカードとして提示して、進捗状況の管理と先読み行動を提供するものです。

 

 

身近なものから取り組んで頂くためにも「火災」から行い「水害編」「地震編」とカードを増やすと良いでしょう。

可能ならば「時間帯別」や「季節ごと」などのバリエーションがあると活用の幅も広がります。

 

 

 では「火災」時のアクションカードを作ってみましょう。 

 

 

ひとまず準備するものは、A4の用紙で構いません。

そしてスタッフ全員が参加します。

本格的な行動指針にする際には、ラミネートしたものを備えておくと良いです。

そしてアクションカードには、担う人材の「責任や目標」および災害発生直後の行動を「簡単」かつ「具体的」に、「部署」ごとに書き出します。

 

例えば「火災時」の「受付係」では、責任や目標

  • ①安全の確保
  • ②火災状況の把握
  • ③待合室の人と動物の避難誘導
  • ④カルテと売り上げの持ち出し
  • ⑤危険な時は自身が助かる行動を取る等でしょうか。

出典:公益財団法人 日本社会福祉弘済会 平成27年度社会福祉助成事業

実践的な防災・減災対策のための研修実施事業『活動報告書』

 

 

 

次に行動を記載していきます。

火災発生時アクションカード(勤務時間内)

(1)初動

  • ①自分と周囲の安全確保
  • ②火災を発見した場合は、火災警報器を鳴らす、大声で「○○が火事です!」と叫ぶ。
  • ③初期消火に参加する。消火器の場所、使い方は事前に確認のこと
  • ④火の回りが早い場合は、火災現場の窓やドアを閉めて逃げる

 

(2)他の部署から火災を聞いた場合

  • ①状況に合わせて消防に連絡119番(伝える内容を書いておく)
  • ②避難経路の確保
  • ③待合室の飼い主と動物の避難誘導
  • ④持ち出しカルテとお金と重要書類をまとめてリュックに入れ背負う
  • ⑤けが人がいる場合○○整形外科(TEL○○○―○○○○)タクシー番号(○○○―○○○○)動物は獣医師に

 

(3)避難

  • ①必要に応じて自身の避難を行う。目の前の駐車場の端に集合。危なければ向かいのコンビニエンスストアの駐車場に避難 等々、動物病院の周辺環境(駐車場などの状況)や建物の構造なども踏まえて、それぞれの部署に応じて、上記のような行動カードを作っておくと、一刻を争う状況の時に迷わずに済みます。

 

動物病院から出火という状況をシミュレーションしてみるだけでも、備えておくことが多いと気づきます。

これが地震だったならば、複合災害で「地震+火災」という状況も出てくるかもしれません。

また新型コロナウィルス感染症もあり、避難誘導ひとつとっても、単純に行えるものではなくなっています。

 

どうぞ動物病院にて危機管理の時間を設け、スタッフ全員で災害に備えて下さい。

アクションカードの見本は、インターネットにて検索下さいますと色々あります。

ぜひご参考にされてください。

 

次回は、動物看護師にできることとして、獣医療の人材が行なった災害支援の実際をお伝えしたいと思います。お楽しみに♪