公益社団法人名古屋市獣医師会

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防災・減災に興味ある?

第6回

「動物病院の事業継続計画ってなに?」

 

今回は、表題にもある「事業継続計画(BCP)」についてお話します。

 

BCP…危機管理オタクや管理者、経営者などでないと聞き慣れない言葉かと思います。

 

動物病院に事故や災害、感染症もですが…

 

なんらかの危機が発生したときに「業務が中断されない」こと、

または「中断した場合でも最低限の時間で業務を回復させること」を

事業継続(Business Continuity)と言い、

その計画をBCP(ビーシーピー)と呼びます。

 

このコラムを読まれている方は「BCPでしょ?」とドヤ顔をして下さいましたらと思います。

 

 

ひと医療にBCPが投入されたきっかけは、

 

 

阪神・淡路大震災でした。

 

阪神・淡路大震災:1995年1月17日5時46分に、

兵庫県の淡路島北部沖の明石海峡を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生

 

その後の東日本大震災を経て、活用されるようになりましたが、普及率は上がりませんでした。

熊本地震後には、BCPを作っておくことで病院復旧のステップが違うことが明らかになり、国が、災害拠点病院でのBCP策定を義務化しました。

 

現在では、感染症の蔓延もあり介護施設にも策定を行うよう呼びかけ、数年後には介護施設なども義務化されます。

しかし日本の獣医療には、BCP策定の関連規定はありません。

 

アメリカ獣医師会(AVMA)では、動物病院のBCPを示し危機に備えるよう普及しています。

 

ここまで読まれた方は、あれ?BCP必要?と思ってくださいましたでしょうか。

 

 

BCPを構成する要素は6つあり、

 

~BCPを構成する要素~

①方針の策定

②分析・検討

③事業継続戦略・対策の検討と決定

④計画の策定

⑤事前対策及び教育・訓練の実施

⑥見直し・改善

 

①方針の策定は最も重要で、

RPGのドラゴンクエストⅣから登場した

 

「いのちをだいじに」「ガンガンいこうぜ」

 

という作戦コマンドを知っていますか?

この2つ!全く行動が違いますよね。

 

つまるところ動物病院の方針「災害時、このようにする」を決めておくか、おかないかで、各人員の初動が違ってくることを意味します。

ですが災害時は、まず「いのちをだいじに」がきて、その次は…

などと、なるかとは思います。

そういった「方針」を決めるためには、動物病院のリスクを知る必要があり

 

②分析・検討

これらは、今までお話したことをご参照下さいましたらと思います。

 

③事業継続のための戦略や対策

動物病院は何においても早期復旧と診療の継続かと思います。

そのためには中断するものを含め「優先業務の選定」します。

それができたらライフラインなどの情報収集、外来、入院動物、待合室、電話対応など優先業務の担当を決めます。

 

ここでやっと

④計画の策定へと進めるのです。

このようにBCPは策定することで

対応の即時性」「業務の可視化」「動物病院の強み・弱みの把握」

業務自体を見直す機会になるメリットがあります。

また動物病院が継続されることは、飼い主と動物に与える影響も大きく「信頼性の向上」にも繋がります。

 

デメリットは、策定するために時間を要すこと=コストがかかることでしょうか…

それでも災害大国日本においてコストをかける価値はあると考えます。

また作るだけに留まらず、

 

⑤、計画を実際に教育したり、災害訓練を行ったりする

 

そして

⑥見直し・改善もとても重要です。

 

それは次回にお伝えできればと思います。

ぜひ「災害に備えられている動物病院」になって下さいますと幸いです。