公益社団法人名古屋市獣医師会

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防災・減災に興味ある?

第12回 獣医療の人材が行う災害支援の実際②

 獣医療の人材が行う災害支援の実際②

 

 

先月に引き続き、動物支援ナースの増子元美です。

前回、被災地での災害支援活動を表で知って頂きました。

その時に感じた特に大切な6項目について!気になった方もおられるのではないでしょうか?

お待たせしました!

詳細をお伝えしますね♪

 

1,安全に避難する支援

避難先をあらかじめ決めておくのはもちろんのこと、事前に預け先を検討し、預かって貰えるかどうかネゴシエーションしておくことも大切です。

これは、ひとに何かあった時や緊急入院などでも役立ちます。

また避難方法の選択肢を沢山持っておくことを啓発するのも重要です。

 

 

 

2,安心して避難生活が行える支援

メンタル面や衛生面、健康面、避難環境を整えることは、ひとにもペットにも必要なことです。

とくに暑さや寒さなどの温度管理は、生命の危機に直結します。

また屋外での活動が増えますので、ひともペットもノミダニなど予防や、人獣共通感染症などの公衆衛生管理も重要な仕事の一つと言えるでしょう。

 

3,ペットと飼い主の健康に寄り添う支援

栄養管理や飼育環境のサポートは、特に被災地にて求められます。

ペットのお世話が行えることは、飼い主のいつもの生活を取り戻す支援に繋がり明日への活力となります。

ですので、飼い主自身ができていることは、そっと見守り、できない部分に寄り添うケアが重要です。また、

 

グリーフケアも大切です。

 

 

グリーフとは喪失感と言われます。

災害は、さまざまな喪失感が、長期間続きます。そこにどれだけ寄り添えるかは、動物病院での経験を活かされることでしょう。

 

4,迷子犬猫や子犬子猫、高齢動物の対応

迷子捜索の方法は、ご存知でしょうか?

最近はマイクロチップが義務化になりましたが、

 

猫は、地域猫なのか?飼い猫なのか?被災してはぐれた猫なのか?

 

 

正直捕まえることができるまで区別がつきません。

ですので飼い主の元へ戻れる確率は犬より低くなります。「迷子にさせないための啓発」も大切な使命です。

また子犬子猫の保育や高齢動物の介護は、物資が不足する中で工夫する必要があり、温度管理が難しいなど…災害時は、特に注意が必要になります。

そうした時の工夫や知恵は、私たちの腕の見せ所だと感じています。

 

5,被災地野良猫問題への対応

避難生活が長くなると季節をまたぐことも珍しくなく、猫の発情など繁殖シーズンもやってきます。

するとけんかによる負傷猫も増えますので、不妊去勢が必要になります。

また遺棄猫などへのエサやりの問題や環境汚染など、さまざまな苦情が発生してきます。

そこを上手く仲介できるのも私たちだと感じています。

 

6,復幸までを見守る対応

災害から復興までの変化は大きく、状況に合う飼い主さんと動物達の暮らしに対し、さまざまな支えや応援が必要となってきます。

段階に応じて支援できるよう、罹災証明や各種手続きなど、

 

ひとの復旧復興支援について学ぶことや、

地域復興の仕組みなどを知ることも大切です。

 

 

最後に災害時には、日本赤十字社(JMAT)や自衛隊、消防などの人命救助の専門家が被災地を行き来し、避難所では被災者(高齢者、障がい者、子供などを含む人々)の生活に必要な医療福祉の専門家や行政、防災組織が集結し、どんどん支援が行われます。

素晴らしいと思います。

その中に獣医師、動物看護師、ドッグトレーナー、トリマーなどの専門家が揃うことで、被災動物や家族、地域にとって快適に暮らすための早期ケアができると、被災地を巡り体験した中で確信しています。

災害時は大切な命や大切な財産を奪われ、ライフラインがない事で当たり前の生活が叶いませんので、とくに精神的に不安になります。

あかりの無い夜(停電時)に余震のトラウマがよみがえります。

好きなかおりが消え、悪臭が漂い、ぬくもり…食事やお風呂、優しさの無い時間が続きます。

そのような時こそ、保健衛生や心に寄り添える人材が特に必要です。

 

ペットと飼い主には、動物の福祉の事を任せられる動物病院スタッフがいたら心強いと私はとても感じています。

 

災害発生から復興までコトバなき動物を救う、動物病院スタッフによるペットケアマネージメントが、被災地で当たり前になることを願っています。